名古屋が全国に、いや世界に誇れるメタル・バンド、OUTRAGEがVo橋本直樹の復帰を経て、ニューアルバムを完成させた。
OUTRAGEは‘87年のデビュー以来、国内はもちろん海外でも高い評価を受ける活動をしてきた。‘98年に橋本が脱退した後は、３ピースでの活動となるが、‘07年にデビュー20周年記念として橋本がライブに特別参加。その後橋本はバンドに完全復帰し、アルバムを制作・発表となった。
このアルバム、もう何度も聴いたが最高だ!!力強くて、破壊的で、凄まじいスピードで突進したかと思えば、重いリフで地の底に叩き落とし、思わず叫んでしまうコーラスがあって・・・とにかく待ち望んだファンを納得させることは間違いない内容になっている。
バンドのリーダーである（大須で育って43年）Ｄｒ丹下氏に話を聞いた。
―ニューアルバム「OUTRAGE」、とても素晴らしい内容ですね。まさに“OUTRAGE”という音になっていると感じましたが、アルバム作りに向けて何かコンセプトはありましたか？
丹下：「自分たちが過去にどういうものを作ってきたとか、どういう風に進化してきたとか、今どういうことをやりたいかとか、未来的にどういうものをやったらいいのかということを、全部振り返って自分たちをもう一回見つめ直してやったという意味では、確信犯的なものではあります。たぶん聴いていただいた人は、特に昔から追っかけて聴いている人は、多分ニヤッとすると思うんですよ。そういうところもコントロールして、20何年たってようやくやれるようになったという感じですね。」
―そういうところが「OUTRAGE」というアルバムタイトルに表れているのでしょうか？
丹下：「そうですね。4人に戻って、デモテープを作っている段階から、この4人が揃うと結局こういう音になるのかっていうのは、もうデモの時から思ったんですね。それこそ鼻歌で歌詞もない様な時から、4人が集まるとこういうメロディが自然に出来るんだよなと思って。それでタイトルを付けるときに、別にタイトル自体に意味は無くてもいいんじゃないかと、だからOUTRAGEというバンド名ですよね。OUTRAGEという単語が持つその意味じゃなくて、本当にバンド名と言う意味でのOUTRAGEというのを付けるのが一番ピンとくるのかなというのと。このタイミングだと特にこれしかないのかなと。」
―デビューから20年以上たってメンバーも40代になっているわけですが、それを感じさせないエネルギッシュというかパワフルというか、凄い勢いのアルバムですね。とにかくテンションが高いなぁと思いました。
丹下：「去年3時間以上のライブをやった時に、今の歳でも3時間ライブやれるんだと思ったら、何歳だから何々しなければいけないみたいなところを考えるのはもうやめたほうがいいなと思ったんですよ。自分たちでそうやって年齢考えた時に、何か壁を作っているようで、何々は出来る、何々は出来ないと思うこと自体がナンセンスな事だと思ったんですね。そう考えたときに、今やりたいことをやればいいんだと思ったら、これになったという。皆さんからは、42、43歳の音じゃないなみたいなことを言われるんですけど、まあそれは結果的にそうなったことであって、別に意図してないというか、自分たちでやりたいことやった結果ですね。」
―この新譜が今までのアルバムを順番に並べた中のどこに並べてもいいなと思いました
丹下：「そうですね。過去振り返って、未来見て、現在今という風で、どこにいてもおかしくないものだということだと思うんですね。それは自分たちでも思っていることでもあります。後から聴き直して、ああ自分たちらしさがちゃんと出れば、それはいつの時代ということじゃなくて、どこでもポコってはまるような、10代の時に作ったような曲もあるし、今でしかやれないようなある意味42、43歳になったからこそ出来るような曲というのもあると思うし。」
―4人としては12年ぶりの、しかもスウェーデンでのレコーディングとなったわけですが、作業はいかがでしたか
丹下：「やっぱり時間が無いというのもあったし、特にＶｏの橋本直樹は普通にフルタイムで働いているということもあって一番ハードルが高かったですよね。実際4日間で全部歌入れ済まして、来た翌日に歌い始めて、帰る前日の夜7、8時まで歌って、翌日朝帰るみたいな。」
―スウェーデンでのレコーディングということで、日本との違いは何かありましたか？
丹下：「まあ特には感じなかったですけど、プロデューサーの人が若手のバンドの音作りをしている人なのでそういう意味では刺激を受けましたね。曲のテンポを決めるときに、なかなか早いテンポで合わなくて、少し下げていいかと言うと、『ダメだ』って言われて（笑）。テンポ下げたいと言うのはおっさんのバンドが言うことで、若いバンドはどんどん上げて上げてと言うから『ダメだ』って（笑）。だから実際はテンポ下げたいと思ったけれど、上げたまま録った曲はもう厳しかったですよ。」
―橋本さんは復帰されてのライブでもこの新作でも、10年以上音楽から離れてたと思えない見事な歌いっぷりですね
丹下：「今回レコーディングも10何年ぶりで、急に海外に来て歌う状況で、ぱっと歌ってぱっと帰る。本人も『しんどかったし、時間がなかったからこそ何も考えずに、考えられなかったからこそやれた』とは言ってたんですけど。やっぱりそれは彼の持つポテンシャルや才能なのかと思います。とはいえ、橋本のほうも影で練習してると思いますよ。それでどれだけの声を出すと、のどがどのくらいで枯れたりするのかのペースを見ているということを言っていたから。彼の持つ時間の中でのベストのことをやっているみたいですね。 音楽って夢を持たせるところでもあるんですけれど、働いているからやれないとかではないと思うし。だから仕事や家庭のある人でも、普段の生活のストレス解消みたいなところもあると思うので、気楽にライブに来てほしい。それとは別に若い人にも、ただかっこいいメタルとしてみてほしいと思います。 結局好きなところは42歳になっても18歳のころと何も変わらないということですね。幅としては聴く音楽もやれることも広がってくると思うんですけど、やっぱり真ん中にあるものは18〜20の頃に血となり肉となったものは変わってないので表面的なファッションであったり、外の枠だけ変わっていくだけであって、中は変わっていかないし、変わっていけないですね、絶対に。」
―再結成したバンドの中には、全盛期の勢いが無かったり、ライブでも往年の名曲だけ盛り上がってるなと思うことがあるんですけれど、OUTRAGEにはそんな事は無さそうですね。
丹下：「そういう風に思われたらキャリアがそこで無くなるなと思ったので、そうならないためにもガツンとくるアルバム、OUTRAGE以外の何物でもないアルバムを作りたかった。僕らがアルバム作るのに念頭を置いたのは、聴いてくださる皆さんが、『ああ、OUTRAGE帰ってきた、これだなみんなが求めていたのは。22、23の頃やっていたのといい意味で同じじゃないか、凄い勢いじゃないか』というのを作りたかったから、皆さんには待ってもらって時間かかったけれど自信作を持って復帰したかったというのがあります。」
―こうして新作が出来て4人としては久々の全国ツアーとなりますね。
丹下：「4人でやるツアーは10何年ぶりになるので楽しみですね。レパートリーが増えた分、何をやろうかがいい意味で悩みですね。（橋本の脱退で驚いた人には）リベンジじゃないですけれど、こちらの全力投球のとこを観てもらって、今までのブランクの所を穴埋めしたいなと思っております。」
―名古屋のライブ会場はここELLですが、ELLの思い出など聞かせてください。
丹下：「もちろん昔のELLがカレーライスを出していた頃から、中学生の頃からお客さんとして見に来てたので、ELLイコール自分の音楽人生の一つのパートとなっています。出演者となっても、場所が移転してもELLはELLで僕の音楽の原点の一つですね。」
―丹下さんは生活圏が大須ということですが、大須ってどんな街ですか？
丹下：「もう大須は大須以外の何物でもないので（笑）。僕がブログで、「大須のサノヤで〜買いました」など書くと、サノヤに行く人がいるんですよ（※サノヤ―大須の激安スーパー）。居酒屋のこと書いたりすると、ライブの前に居酒屋行ってくる人もいるみたいですし。だからライブに来る前には大須を探索して、街の雰囲気もELLも含めて大須という街をぜひとも体験して欲しいですね。」
―では読者の方にメッセージを
丹下：「いろんな人に楽しんでもらいたいので、アルバム聴いてない人がいたら事前に聴いて欲しいけど、仮に聴いてなくても気兼ねなくライブに足を運んで欲しいですね。今だとCD良くてもライブが悪いバンドがいると思うんですけれど、僕たちはライブバンドだし、ライブの強みというのもあると思うし、ライブならではの雰囲気があると思う。特に若い人は名前は知っていても、CD買うまではなぁという人もいると思うので、ライブを見たら、どういうバンドかはっきりわかると思うから、是非来て欲しいですね。」
―ライブ楽しみにしています。ありがとうございました。
4人の過去と現在、未来までをも余すことなく詰め込み、新たなスタートを切ったOUTRAGE。以前の曲はもちろん、新曲でも観客を楽しませるライブをやってくれるであろう。もちろんOUTRAGEを知らない人々も、まずは新作を聴いて、ぜひライブ会場へ足を運んでほしい。そして拳を突き上げ、頭を振り、力の限り叫ぶのだ。
