社説

 狭い日本の島国根性なのか、まわりを見廻していつも何でも他人と同じでないと不安になってしまう。ファッションも車も音楽も生活も。(でも全く同じではさすがに気が引けるのかちょっとだけ変えて、オリジナルとおっしゃる)。突拍子も無いことや前例の無いことにはほとほと抵抗があるのか(まるでお役所だな!)なかなかお目にかかれない。一見奇抜に見える行為だって本当にそれはオリジナルなのだろうか?ファッションはともかく音楽に限って言えば、最初は誰かや何かに影響を受けて自分でもやってみようと始まるのだが、これがまたそのままの受け売り&なぞるだけのいわゆる下手くそコピーで、始めて間も無いアマチュアバンドにありがちな微笑ましい光景だけど、これがプロフェッショナルやプロを志す人たちとなると、それはもうモノ真似以外の何物でもない。サルマネ民族。サルマネバンド、サルマネプロデューサー。クリエイティブと言いながら売れた奴のサル真似。どこかで聞いたメロディ、どこかで聞いた歌詞、どこかで聞いたコード進行とアレンジ。いやもしかしてやり手側の意識がそこまでもいっていないのかも?自分がやりたいという衝動だけで全て終わっている。それが誰に向けられていくのかを考えられていかないと片手落ちの音楽。音楽は元々コミュニケーションの手段として始まった。誰かに何かを伝えたくてここまで進歩してきた。それが聞く奴の事を何も考えないまま、ただこれカッコイイだけでやってしまっている。そのままじゃ誰にも届かない。誰にも聞かれない音楽、それは孤高でカッコイイ事かもしれないが、その結末は、よくある四畳半の押入れに放り込まれて誰にも知られず粗大ゴミとなる。どこの町もゴミの捨て場にも困っている。捨てられる前にせめて誰かに愛される音楽を作ったら?造った奴が死んでしまってもこの世に残る音楽を。自分しか造り得ない自分だけのオリジナルを。