『前略 クリンゴン様。
初めて貴方にお会いしたのはELLのライブでのこと。どなたかは存じ上げませんが、アフロヘア(?)が印象的で、めっちゃファンキーな人かと思いきや、曲のあまりの旋律の心地良さに、思わず吐息を洩らしたのを覚えています。2回目の出会いは、1stアルバム、クリフ・アンド・ワゴンでした。それはクリンゴンという造語のもたらす意味の通り、ワタシの心にしがみついてその手を今なお弛めません。このアルバムを聴くと、いつも既視感にも似た思いが胸の中に蘇ります。海岸線を車で走り抜けるような、眼前に広がるパノラマを胸いっぱいに吸い込むような、湿った空気に蒸せ返る暑さのような、そんな何かが…。
優しくて懐かしい…。
切なくて熱い…。
曲を作るその中には体験したこともあれば映画で観たことや本で読んだことや色々な思ったことを詰め込んでいって一つのストーリーに仕上げるんだって、言ってましたね。本といえば「アルジャーノンに花束を」のラストシーンに涙したというV・Keyの木村さんの精神世界にもとても興味が沸きました。
ところで今はマキシシングルとアルバムを製作中だとか。やはりハートをワシ掴みにされた私としてはその辺、大いに気になるところで、そこの意図を察してか、CDについてもこんなふうに言ってましたね。
「気軽な感じで、ラフに録ったんでライブ感もあると思いますよ。他に、前はピアノだけだったんだけど、今回はオルガンとか色々な楽器も使ってるし、曲も(他のメンバーとの)共作とかもあったりして前回とは少し違うものが出来ると思う。」って。前作は木村さんが殆ど曲を作っていたのが、今回はよりいっそう融合の密度が濃くなってきたということなのかしら。だって「皆それぞれに持つばらばらなものが
くっついた、融合みたいなところがクリンゴンだと思う。」って言ってたもの。
「例えば深く掘り下げていくと、バックグラウンドがハードロックだったりするヤツとか、テクノだったりするヤツとかいて、60年代とかのアメリカやイギリスとかのソングライターが好きやったり、皆一致しないけれども合わせれば、形になってる」って。
挨拶もなしに私の心にスルリと入ってきて空気のような自然さでそこにいすわちゃったクリンゴンの音楽が、ばらばらの個性から出来あがってるなんて私だってちょっとびっくり。この心地よさは、恋人のそれと似ているのでしょうか。私が今書いているものは実はラブレターなのかもしれません。次回ELLでお会いできる日を楽しみに待っています。
親愛なるクリンゴン様へ』
ps・ごめんね、ダーリン。他の人にラブレターを書いちゃいました。
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