カジヒデキ

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君はもう映画版「デトロイトメタルシティ」(以下DMC)を観たか??冒頭のカジヒデキさんが出てくるシーン、マジ最高なんだ。そんなDMCの風にも乗って、主題歌『甘い恋人』がまさかの自身初のオリコンTOP10ヒット。世間の渋谷系再評価の気運(個人的にもそう)もあり、正に第2の黄金期を迎えた我等がカジヒデキさんが、ニューアルバム『lollipop』をリリース。そして今回もツアーでELLに来てくれる事になり、インタビューしてきました。

─ニューアルバムの『lollipop』聴かせて貰いました。いつもにも増して歌メロが激キャッチーというのが、僕の印象です。御自身ではどうですか??

カジ:「まず最初に映画のDMCの『甘い恋人』と『ラズベリーキッス』があって…。まぁとにかく『甘い恋人』が大きいですよね。『甘い恋人』自体は元々、アルバムとは関係なく、DMCの曲として、去年くらいからプロデューサーの方と直しながらというか、ブラッシュアップしながらやってたんですね。で、『甘い恋人』っていう曲自体が僕の中に元々あった『ミニスカート』、デビューアルバムの頃のテイストの曲で…。勿論、そうゆうテイストで作って欲しいっていう依頼もありましたし。僕自身も漫画を読んで、明らかにそうゆう匂いを感じてたし。そうゆう意味では、たぶんここ最近の作品っていうのは、ロンドンに住んでたせいもあると思うんですけど、メロディー重視というよりは、割りとリズムの方を重視してたというか…。ビートだったりとか。やっぱり、イギリスに住んでいるっていう事を自分の中でもっともっと表現したいと思ってたし、そうゆうどっちかって言うと、リズム重視の方に行ってて。それでも前作は割りとメロディーの方に戻したんですけどね。」

―─はい。前作『Towns and Streets』も良いっす。

カジ:「うん。今回はさらに、『甘い恋人』がメロディーを重視した作品になったのもあったし…。その後、日本に戻って来てから曲を書き始めたので、アルバム自体はJ-POPと言いますか。もっと日本の多くのリスナーに聴いて貰えるような作品にしたいと思ったので。その辺は意識しましたね。」

─なるほど。僕も勿論パワーポップとかエレポップの影響は感じたんですけど、歌メロが80'sのJ-POPというか、大瀧詠一さんや山下達郎さんの匂いがあって、それが良い感じだなぁと思ったんですよね。

カジ:「そうですね。曲を作る時に、自分の中での規制みたいなのが、たまにあったりするんですけど。特にロンドンに住んでいた時なんかは、自分では自由にやったつもりではいたんですけど、やっぱりUKのインディーのシーンの影響を出したいと思ってたし、何か他の要素を色々入れたいとは思わなかったんです。でも今回は、そうゆう感じにしても面白くないなと自分でも思ってて。もっと自由に自分の好きなものは全部入れようって思って。特に80年代っていうのは、自分の中でテーマとしてあって。まぁしばらく80'sリバイバルっていうのが、日本もそうだけど、海外でも続いてて。今回は自分でも、そうゆう色はより強く出したいなぁと思って作ったのはありましたね。それこそ大瀧詠一さんとか、ナイアガラトライアングルっていうのはリアルタイムだったりするんですよ。中学の時とか大好きだったりして。」

─あぁ。そうかそうか。後、今回はゲストも小山田圭吾さんとか、小島麻由美さんとか、渋谷系オールスターズって感じなんですけど。渋谷系の感じとかって意識しました??

カジ:「いや。実はその辺は全く考えてなくて。ていうのも、きっと僕の場合ナチュラルでそうなってしまうんですよ(笑)」

─(笑)そりゃそうだ。本人ですもんね。

カジ:「その辺を拘ろうなんて思った事はないんですけど、ただ今回は日本に戻って来て、日本でじっくりレコーディングが出来たので。あのー、1曲目の『甘い恋人』だけはスウェーデンでレコーディングしたんですけど。後の曲は日本に戻ってから作ったので、わりとこう色んな人に頼みやすかったというか。例えば小山田君とかも…、小山田君の事務所で何日間か録らせて貰ったりして。そうゆう時に会って、『ちょっとギター弾いてよ』みたいな(笑)」

─はははは。良いなぁー。

カジ:「それだとちょっと軽過ぎるな(笑)『弾いてくれませんか?』くらいで(笑)後、真城メグミさんっていうコーラスの人がいるんですけど。真城さんもホントに、気が付けば『ラ・ブーム』以来でね。元々、真城さんがやっているHICKSVILLEのファンだったし、一緒に対バンとかもやって仲も良かったんですけど。あのコーラスが大好きだったのに、そういえばしばらくやってないなぁなんて思っていて。たまたま今回作った『ハートは一つだけ』っていう曲は、こうゆうタイプの曲は絶対真城さんだなぁと思って頼んだりとか…。そうですね。結果的に古くからの友人に頼んだ事によって、そういう渋谷系みたいな感じになったのかもしれないですね。」

─あと、これは是非聞いてみたかった事なんですけど、カジさん本人的にはDMCの事をどう思ってるのかなぁと思ってて。コミックとかを読んだりはあったんですか??

カジ:「あ、はい。けっこう早い時期に。漫画は基本的にはあまり読まないので、勿論最初から知ってたわけじゃないんですけど。でもコミックの一巻が出た頃に…。たまたまインストアイベントがあって、その時にファンの方が一巻をプレゼントしてくれて。」

─へぇ〜。

カジ:「そしたら渡される時に言われたのが、『これカジさんが出てますよ!!』」

─ぶはははは。

カジ:「一体どこに出てんだろうなんて思ってたら、サジヒデキ君が出てきてね。でもとにかく面白くって、凄く自然に楽しめましたね。やっぱり根岸君の二面性っていうか、ああいう部分って僕も凄く共感できるし、たぶん多くの人達もそうだと思うんですよね。ストーリーも面白いし。コーネリアスとか、カヒミカリィさんとか、スウェディッシュポップとか出てきてね。面白いですよね。」

─カジさんも元々パンクキッズだったりしますもんね。

カジ:「うん。10代の頃とかね。最初は(セックス)ピストルズみたいなストレートなのが好きだったんですけど、すぐにハードコアだったりとかね。もっと言うと実はポジティヴパンクっていう…。」

─おぉー。マジっすかー。

カジ:「うん。ゴシックのバンドをやってたりしたので、その頃は当たり前のように、白塗りをしてたんですよね(笑)」

─(もうそれって結局、根岸君=カジヒデキって事??)とにかく両方のファンとしては、映画の冒頭シーンでカジさんが出てくる所はかなり興奮しました。さて、11月13日にはELLにやって来て貰えるという事で、今回のツアーはどんな感じになりそうですか??

カジ:「はい。『lollipop』っていうアルバムは、半分は打ち込みでやったんですけど。なので同期モノと言いますか。生演奏だけの、割りと今までどうりの感じっていうよりは、ダンスミュージックの要素を前面に出せたら良いなぁと思いますね。アルバムの80'sの感じは出したいですよね。それをやるには色々大変なんですけどね(笑)」

─あとは9曲目の『Too Much Ton Young』。これは凄いっす。めちゃアガリますね。個人的にはCSS+JUSTICE!!これライブで観たらヤバイなぁ。

カジ:「あははは。いやーありがとうございます。今んとこ取材では言われてないですけどねー。かなりニューレイヴって感じで。」

─そうそう。でもえぇー?どーなってんの皆。これは新しいっすよ。

カジ:「あの曲はちょっと特別というか。『FOOT』っていうサッカー番組の今シーズンのテーマ曲として作ったんですよね。アルバムの明るい感じとは違うから、入れるの迷ったんですけど。でも今の気分っていう感じだしね。この曲をライブで歌うのは、僕も楽しみにしてるんです(笑)」

カジさんの音楽にはいつだって、ダサイところが一つもない。そして、過剰な自己内感情の垂れ流しや、自己啓発セミナーのようなお説教もない。音楽が純粋に音楽として楽しいのだ。キャラも楽しい。そうゆうところが好き。僕が二十歳くらいの頃、社会現象級に女子にモテモテだったカジさんも好きだったけど、今の方がもっと好きだな。今もモテモテだしな。


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