世紀のライブだった・・・。と大げさに書いてしまいたくなるくらいのライブだったのだ、この日のライブは。
97年の活動休止から、実に5年。ライブハウスから離れていた伝説のバンド“Theピーズ”が休止前にちょくちょく来ていたのはステージの暑さが有名だった旧ELL。そして名古屋の出身で・・・などと今さら説明の必要もない“フラワーカンパニーズ”が出ていたのも旧ELL。そんなELLゆかりの2バンドによる注目のライブ。対照的な様でいてその実その端々に、同じ匂いのするこの2組のライブはまさに好カード!のうえ、Theピーズは復活後まだ数本しかライブをしていないのだ。否やが応でも期待は高まる。もちろんチケットはすぐに完売だった。
いつになくぎゅう詰めの会場。定刻どおりにライブは始まった。
とたん、いきなりの絶叫が耳をつんざく・・・。「白眼充血絶叫楽団」だ。一曲目から顔を真っ赤にして髪を振り乱して歌う圭介、力強いリフをガシガシ刻む竹安、グレートのうねりまくるベース、全身で叩きつけるかのようなMr.小西のドラム。そんなのっけから全開のメンバーに引き込まれるように、会場は一気に盛り上がり跳ねだす。そしてたたみかけるように「ソウルサーフィン」「欲望中毒」、イントロのギターが印象的な「涙よりはやく走れ」が続く。
『ピーズ復活おめでとうございます』とボーカルの圭介がお祝いのMCが挿まれた。『14年目だけど気持ちはルーキー(圭介談)』なフラカンのライブは、2枚のベスト盤リリース直後ということで、まさにベストな曲が続く。デビューシングル「孤高の英雄」、「モンキー」そして次回シングルの新曲「真冬の盆踊り」。タイトルを聞いた時はいったいどんな曲なのか・・・といらぬ心配したが、圭介の動きが阿波踊り(?)風で、コーラスが「よっさほい」なのを除けば、なーんだカッコよいブギではないか。こういう遊びごころがなんとも彼ららしい。
ここで一転、ミディアムテンポの「雨」「真っ赤な太陽」が演奏される。曲がシンプルな分よけいに歌詞がしみわたって、ヒリヒリとしたイタイ言葉にジーンとする。そして最後はまた派手に「人間の爆発」「YES,FUTURE」「俺たちハタチ族」「ホップステップヤング」と、一気に突っ走る。ステージの端から端まで転げまわって歌いつづける圭介、そしてこちらもステージを所狭しと歩き回って観客を煽るグレート。やっぱフラカンはこうでなくちゃ。気づいたら前の方は踊りまくってるし、上がってるこぶしの数も随分と増えてた。
最後に圭介が『お待ちかねピーズだ!』そう言い残し、ステージを去って行った。
いよいよTheピーズだ。
転換中会場はライブへの期待でいっぱいになったのかセッティングでメンバーが出てくるだけでザワつき、準備万端ベースのはるがビシッとサングラスをかけ、ギターのアビさんがスーツで決めて登場した瞬間、黄色い声が飛んだ。
そしてTheピーズの記念すべきライブは『名古屋来ちゃったぞイ』、はるのそんな言葉で始まった。
ジャッジャーンというギターの音(音がまた素敵)で始まった1曲目は、待望の新曲「生きのばし」。5年のブランクなんてなんのその、あっという間に会場にピーズ独特の世界が広がる。はるのぶっきらぼうな声が吐き出す意味深な歌詞と、リズム楽器の枠を越えもうひとつのメロディを奏でるベース、アビさんのがなるようなギター、シンイチロウが刻む小気味いいドラム。正直初めてピーズを見た私までもがたった一曲でトリコになってしまうカッコよさだ。そしてしっとりとした「日が暮れても彼女と歩いてた」、「とどめをハデにくれ」「ニューマシン」と往年の名曲が続き、この瞬間を待っていたであろう観客で溢れたフロアは飛んだり跳ねたり、もう揉みくちゃになっていた。
『5年ぶりの名古屋、感無量でございます(笑)』そんなはるのMCのあと披露されたのは、「サイナラ」とイントロが始まったとたん歓声のあがった「ドロ舟」、そして「気ばらし」「無力」「GOGO」といった自然と身体が動き出しちゃうようなゴキゲンなロックンロールやブギばかり。
ここでまたMC。アビさんがドスの聞いた声で『前のELLより暑くねーぞ』と強がりを言いながら上着を脱ぎ、『ellは新しくなってきれーんなってんのに、俺たちと客は古いままじゃねぇか(笑)』なんて憎まれ口なんかのたたいた後にメンバー紹介をするはるは本当に楽しそうだ。
お次は「底なし」、シビれるくらいカッコイイべースで始まる「ゴーラン」、「シニタイヤツハシネ」「YEAH」で会場は最高潮に。そして最後はしんみりとしてるのに、全身でギターをかき鳴らすアビさんが印象的だった「グライダー」。そして曲が終わってしまってもギターを一人で引き続けるアビさんの頭をはるがはたき退場。
その後、まさかのアンコールで「脳ミソ」が始まると、待ってました!と言わんばかりに会場は最後の盛り上がりを見せ、楽しかったライブはこれで終わり。
 
最後にはるが言った『来年また出直してくるので待ってろよな。』という言葉が本当に嬉しかった。
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