陰陽座


いやー初めて陰陽座を見たのはELLでのイベントだったでしょうか、日本文化をモチーフとしたド派手な衣装をなびかせてクルクルと立ち回り、男女のツインボーカルを効かせた王道とも呼べるへヴィメタルサウンドを繰り出す彼らの姿は衝撃的だったなー。それ以降も特撮や犬神サーカス団といった濃ゆいメンツとの対バンのおかげもあって、名古屋ではすっかりお馴染みの陰陽座、11月17日には遂に名古屋では初のフルサイズ・ワンマンが実現します。実はバンドのことをきちんと聞くのはこれが初めてだったりするので、基本的なところから次回ライブへ向けての思いまで、じっくり伺いたい!ということで陰陽座のリーダーでありBa.Voの瞬火(またたび)さんにインタビューをお願いしました。


-結成から今年で4年目ということですが、もともと大阪で活動されてたんですよね?

「そうですね、別のバンドをやってたりしたのですが、ギターの二人はバンド活動自体が陰陽座が初めてなんです。」

-そうなんですか!その初めてのバンドがいきなりコンセプチュアルなバンドで・・・

 「へヴィメタル、ハードロック的なことをやりたいっていうのがあったんですけど、外国のそういうバンドをなぞらったようなものはやりたくなかったんです。日本人であるってことは、言葉として日本語を使わないことにはちゃんと表現できるわけもないって思ってたので、日本語という中でも自分が好きな世界、怖かったり怪しかったりという方向へ行ったという。別に学術的にやってたわけではないので、古典のテストとかやらされたら点は取れないと思うんですけど。」

 ―そしてライブの本数も増え、東名阪へと徐々に活動範囲が広がっていったわけですけど、名古屋でのライブは初めからえらい盛り上がってましたよね?

 「名古屋のお客さんというのはこだわりが強いので、あまり最初は歓迎されない、と聞いてたので、ションボリすること覚悟だったんですが、意外と歓迎してもらって、それで気を良くしちゃって…。
これまで二回全国ツアーをやって、両方とも名古屋が出発地だったんですよ。ツアーというのは最後と同じくらい最初も肝心で、最初で勢いづかないと、なかなか波にのれないところがあると思うんですけど、幸いウチは2回とも名古屋で『これが一発目だったらあともっともっと凄いことやらなきゃ』っていうぐらいこう盛り上がりきってしまうんですよね。」

―ライブの内容も「怪しいもの」をテーマにしているにもかかわらず、お客さんの笑顔も印象的な楽しいものですよね。

「実際にライブにきてみたら、想像してたのと違って、単純に楽しいライブだからびっくりしました、というお客さんも多いですね。歌詞とかバンドの世界観の題材である日本の伝記的なこととか呪術的なこととかってドロドロしてそうな感じがしますよね。でも僕らが特に掲げてるキーワード、『妖怪』は実はそんなに怖い奴ばっかりじゃなくて、面白い奴もいたり悲しい奴もいたり楽しい奴もいたりするんです。そういう意味で『妖怪』を歌うということは怖いだけじゃなくて、色んな面、人間の喜怒哀楽のようなものなんです。ライブハウスという場所で、お客さんと一緒に盛り上がるということはどう考えても楽しいことですし・・・。」

―ライブでは黒猫さんも曲によっていろんな表情を見せますよね。

「彼女は歌ってる時も、歌ってない時でさえも常に体全体で表現しますね。」

―あと、表現といえばやっぱり着物も・・・

Gtの二人は狩衣(かりぎぬ)というのを着ていて、最近流行の陰陽師に出てくるようなやつですね。黒猫は十二単まではいかないけど、羽織と着物が別になったものを重ねて、僕とDrの斗羅(とら)は普通の着物を着て、袴をはいてます。

―ぶっちゃけ、暑くないですか?

「もうガチンコに暑いです(笑)。また汗を吸うと重くなるんで、袖とか長いし演奏もしにくいんですけど、それはもう覆面レスラーの気分で。あの、分かります?プロレス…マスクをつけて闘うのは視界も悪いし暑いし、不利なんですけど、仮面をつけてる人ほど派手で、大振りな技をくりだして観客を魅了するわけですよ。それと全く同じだと思っているので、着物を着てるからってこう、大人しくしゃなりしゃなりとやるんではなくて、着物着てるけど、普通の服を着てる人よりも激しく魅せるってことを心がけてるんで。まあかなりしんどいんですけど…(笑)」

―音楽については、陰陽座は正面きってへヴィメタルという言葉を使ってますね。

「そうですね、今はへヴィメタルという言葉が言うと損になる言葉になってると思うんですよね。どれだけしっかりやってきた人でも今はあえてそれとは言わなくて、違う言葉を使ったりしてるじゃないですか。僕は天邪鬼なので、言えばいいじゃん敢えて言ってやろう、と思うんですよ。へヴィメタルであるかどうか以前に、自分たちを受け入れてもらえるという自信があったので…。」

―このバンドには、そのへヴィメタルであるということと、先ほど伺った陰陽座のコンセプトがあるんですが、作詞作曲をする上でそれが制限になってしまうことはないですか?

「ないですね。歌詞の面でいうと、『妖怪について歌う』ということは先ほど言ったように『人間について歌う』ということですし、人間について歌うということは『この世で自分の感じることすべてを歌える』ということなので、ほとんど制限なし、ってことですよね。
音楽的にも、へヴィメタルっていうと、世間一般でいうと激しくて速くて喧しいっていうふうになると思うんですけど、進化したり、敢えてこんなものをやってしまう、という挑戦をやっていかないとへヴィメタルとは呼べない、という持論が僕にはありまして、思いついたらすべてやるようにしてます。陰陽座の売りは黒猫を中心とする歌、なのでいい歌を聴かせられるなら、それが激しかろうが優しかろうが、速かろうが遅かろうがひっくるめて、へヴィメタルと呼ぶんだと考えてます。」

―なるほど。では最後に次回のライブに向けて、またそのライブに来てくれるお客さんに向けてメッセージをお願いします。

「初めて名古屋でフルサイズのライブをやるってことでかなり気合が入ってます。今まで名古屋でやらせてもらったライブは、何の祟りか完全な形でライブができたっていうのが少ないのですが、ひとまずは前の夏のツアーは完全なバンドの形でできたし、あの盛り上がりが2時間めいいっぱい続くと思うともう今から夜も寝れないので、昼に寝てます(笑)。メンバー全員前のめりで興奮してるので期待しててください。」

楽しい時は思いきり笑い、時には人間の心の奥底へ深く怪しく入り込む、「陰陽座」というバンド名にぴったりの二面性のあるライブは観る者をぐっと惹きつけて離さないパワーを持っています。へヴィメタルという言葉の壁も超えて、単純に嬉しくなったり、悲しくなったりできる、そんな人間味、もとい「妖怪味」あふれるライブ、知らないでいるのは勿体無い!11月17日は魑魅魍魎の館となる(?!)エレクトリックレディランドへ、初めての人もさあ、そんな怖がらすにどうぞお越しくださいませ。


インフォメーション
  info:次回陰陽座のライブは…
11月17日(日) @ElectricLadyLand
〜陰陽座名古屋初単独公演『尾張好ければ統べて良し』〜
open18:00 start19:00 前売\3500 当日\4000 (without drink)
Ticket Now on Sale!!
 


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