社説

 インディーズとメジャーがボーダーレスの時代。今ではインディーズもメジャーもバンドにとって単なる方法でしかない。誰にでもすぐに始められるインディーズ。これから何かを始めようとする人にとって、何が良くて何が悪いか分からないまま、カッコイイから皆がやっているからという理由でただ何となく簡単にCDを作る。漫然とライブを重ね「いつかの日か」、「誰か」が自分たちをこの状況から救い上げてくれるのを辛抱強く待っているミュージシャンにとって、インディーズもまたシンデレラ物語に出てくる有名プロデューサーと同義語か。CDさえ作れば何かいいことがあるだろうと甘い期待で思慮浅く作る。インディーズとはインディペンデント。自分で始められ自分で決められるがその責任と結果は全て自分次第。売れても売れなくても全て自分次第。作品を作ってもそれを広めることをしなければ誰にも伝わらない。バンドの存在すら知られてないのにそのバンドのCDが売れるわけがない。とりあえず作ってみた曲と詩とアレンジで、金が無いから時間もかけずにとりあえず録音して出してみる。宣伝もとりあえずチラシ百枚作ってみる。これじゃあママゴトだ。そして今やインディーズとは名ばかりのメジャーインディーズの横行は、予算のないリトルメジャーに他ならない。予算がなければそのアーティストに割く時間も人も無い。いっぱしのアーティスト気取りで作品に自己陶酔し、後は売るのも宣伝するのも人任せでは、売れるものも売れない。大型CD販売店でさえインディーズ強化をうたいながら、リリースされるタイトルの多さに大手の流通会社を通さないものや十枚以上の注文の無いものは店頭にすら並ばない。ショップの仕入れ担当はもとより店頭のスタッフも新譜を把握できていない。もはや何が売れるか誰も分からない。粗製乱造もいいが、このままでは一時期カラオケスナックで流行った「あなたのCD作ります」になっちまう。そんなCDあんた買うかい?