人情紙風船

涙の最終回

Photo

 人情紙風船、第十二回目。最終回です。慌しくはじまり、これまで「グルメ」から「超常現象」はたまた「スポーツ」や「アニメ」など、様々な若者文化について議論を展開してきた訳だが、果たして読者諸君に俺のコンセプトは伝わったのであろうか。ま、別にそれはどっちでもいいけど。今月も奥深い話。

 誰しもがもつ欲望の中に「物欲」がある。「あれ欲しい」「これ欲しい」ってやつだ。たとえばテレコンワールド見ていて急激に「オート・フォム(カーワックスね)」が欲しくて欲しくて仕方なくなり、一旦欲しくなると体の中にこれまで感じたことない熱いサムシングが流れ血圧も上がり、姑さんもちょっとウキウキ…いやまてよ、と言うことは血圧測定器、しかも良くテレビショッピングでやってる指先で簡単に測れるやつがいるジャン!!あーさっそく注文しよ!!(以下省略)

 というように人間の欲望とは限りないもであるが、この「物欲」というやつを本当の意味で満たす「物(ブツ)」は非常に少ない。たとえば、前出の俺の物欲メーターをレッドゾーンまでブン回しやがったセクシーガール「オートフォム」の場合では、(前にも書いたが)結論から言えばCMで発表されている劇的な効果は全く得られることができず、俺は「ブツ」を得たにもかかわらず満足することができなかった。こんなロンリーウルフを慰める事のできる、優しくて包容力のある燃やしてもダイオキシンの出ない「ブツ」無いのか!!…ありました。 その名は「静電気防止棒 ビリビリ2000(仮名)」。実はここのところ俺の中で静電気が大発生。ここままでは車の乗り降り時に感電死or心臓麻痺で死ぬかも…と言うわけで遥かなる「物欲」を満たすべく、近所のイエローハットで静電気防止棒を購入いたしました。なんでもその黒くて太い棒を握ると先端から白い液体…じゃなかった、静電気の強さに応じてLEDが点灯。小生の愚息も昇天!!するわけも無く(アホ) 数千いや数万とも言われる高圧の静電気が豪快に大地に流れ落ちるという聞いただけでもゾクゾクしてくるラジカルなブツである。とまぁそこまではいいだろう。ところがなぜか「ビリビリ2000」購入した途端に、静電気が俺の体にエレクトしなくなってしまった。これじゃぁ若妻も欲求不満…じゃなかった俺の物欲も欲求不満になっちまうぜ!! そこでハンターまさともは静電気の起こりやすい服の組み合わせを調査、その結果驚くべき組み合わせを発見したのだ。どうやら特定のセーターとコートで激しくエレクトするようでその組み合わせで車に乗ると、静電気がそりゃもう激しく迸り「ビリビリ2000」も怪しい光を放ちご満足…のハズだった。だが、なぜか激しく光る「ビリビリ2000」を見ながら俺は一抹の虚しさを感じていた。

 そう今まで遠回りしてきたけどやっと分かったんだ、つまりハンターである俺は獲物をハンティングすることでしか満たされないデストニー…それに気づいた俺は新たな獲物に(某バンドSのT君が持っていたハンドルのついたスケボーみたいなやつ)照準を合わせていたのだった。(完)

(最後まで読んでくれて本当にありがとう)