好評連載
しゃちの部屋第37回

 「根っからの夏好きの僕は、死ぬほど寒い冬の夜になるとほとんど出歩かず、暖房の効いた部屋で『冬眠生活』を送ってしまいます。」

 そんな僕の習性を以前にも何度かこのコーナーで紹介したことがありましたが、やっぱりこの冬も寒さを好きになることができませんでした。

 この冬の僕の一番の流行りは「レンタルビデオ」でした。一週間レンタルのものを4〜5本借りては返却の時にまた借りて。ほとんど毎週のようにお店に通っていました。誰もが知っている話題作を一本、好きな俳優が出演している新しめのを一本、邦画を一本、以前観て良かったのを一本、そしてジャケットから興味をそそられたものがあれば一本。いつもそんな基準を自分なりに決めて選んでいます。

 この基準の中の最後に挙げたジャケットにそそられた、通称「ジャケット借り」(CDではジャケットで買うという例は結構ありますが、レンタルビデオでもそう言うのでしょうか?)これがなかなかバカにできなくて、今までに数々の名作に出会いました。今回はその中から、ちょっと考えさせられた作品を紹介したいと思います。

 「バンドワゴン」というアメリカの映画で、僕がいつも行く店にはたった一本しかなく、それも偶然見つけたので、たぶん知らない人の方が多いと思います。「コミットメンツ」を観たことのある人なら分かるかもしれませんが、この「バンドワゴン」も似たような「バンドもの」で、言い替えるなら「コミットメンツの現代版」とでも言っておきましょうか。

 ソングライティングのセンスは抜群なのに極度のアガリ症で、ステージ上でずっと後ろを向いたままのボーカリスト、いつも人間関係が上手くいかなくてすぐにバンドをやめてしまうギタリスト、ろくに仕事もせず借金取りから逃げ回っているベーシスト、学校をサボって家でドラムばかり叩いているドラマー。

 この4人が偶然出会い、「サーカスモンキー」というバンドを組み、一台のワゴンでライブツアーに行くという物語。途中、恋人のことでモメたり、インチキ業界人の「旨い話」に騙されそうになったり、そんな事が重なって解散しそうになったり、でも最後は…。

 この先はその目で観てください。この映画の特に良かったところは、この中に出てくる「サーカスモンキー」というバンドがすごくカッコ良かったことです。多分この映画のためだけで実在していないバンドだと思うのですが、(もし誰か知っていたら教えて下さい)ジャンルでいうとパワーポップなバンドで、本当にデビューしていてもおかしくないくらいカッコ良いです。年齢も僕と同じくらいで音的にも共感が持てるので、僕はいろいろなことを考えさせられました。

 「何かに打ち込みたい!」そんな気持ちにさせてくれる映画だと思います。みんなもぜひ一度探して観てみて下さい。

 そろそろ暖かくなってきたので冬眠から目覚めようかな。

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