社説

能無しがCDを作る現実


 ああ今月も能無しがまたCDを作る。ミリオンセラーの名前を挙げて、あれはこう、これはこう。さんざん理屈を並べ立て右も左も解らない若いバンドマンにうんちく垂れる能無しがまたCDを作る。音楽は元々パーソナルなもの。オリジナリティが必要なのに、「いい曲」という殺し文句で作る曲は何故か誰もが皆同じコード進行。誰かが売れるとイミテーションが百バンド。テレビの歌番組は次々新人が出てくるけど、どれがどれやら区別が付かない。

 インディーズと呼ばれる人たちまでがいわゆる売れセンのモノマネ。曲を書くノウハウも録音にかける時間も無いのに。レコーディングの器材もヘボイのに。そして有能なスタッフ(これが一番大事なんだが)もいないのに。他人の仕事をあーだこーだ言うだけで自分じゃ何も出来ないヤツばかり。

 いくら売れてても売れた時点でそれはもう過去のモノ。今日ライブハウスで演ってるヤツが売れてホールに行くのは来年か再来年。そんな時に今の流行りが通用するか?インディーズにはインディーズのやり方があるのに、お客さん無視して上っ面だけメジャーのフリしても長続きしないから、すぐ消える。

 バンドはすぐ消えるけど能無しはしぶとくまた同じ間違い。売れないCD作って会社クビになっても、違う会社でまた同じ間違い。デビューしてバンドはメジャー気取りでもお客さんは裏切られたと見放すから、元々たいした人数入ってない客席にはもう誰も残っていない。

 デビューの意味も分からずに、すればなんとかなるだろう、誰かが売ってくれるだろうと甘い考えでいると、能無しに根こそぎ持っていかれちまう(万が一売れても売れなくても)。

 契約書の中身も解らずに浮かれているバンドマン諸君、自分達のライブに雨が降っても何が降ってもチケット買って足を運んでくれるお客さんの事絶対に忘れちゃダメだよ。