好評連載
しゃちの部屋第32回

 僕は今でもあの時の衝撃を忘れられないでいます。当時14才、中学2年生。そろそろ自我が芽生え始め、血気盛んな年頃に受けたその衝撃とは、僕が生まれて初めて観たレインボーホールでの『レッドウォーリアーズ』のライブでした。

 以前にもこのコーナーで紹介した「ロック大好き姉ちゃん」=僕の姉(現在もバリバリロックな生き方中)が彼等の大ファンで、姉がその頃ロックを知り始めた僕を誘ったのが事の始まりでした。姉が僕を誘った理由の中に自分が良いと思ったものを人に勧めたいという気持ちがあったとは思いますがそれよりももっと大きな理由としてチケットがなんと¥1000だったのです(今思うとすごい事をしてくれたもんだ!)。

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 当時中学生だった僕の少ない小遣いでも「¥1000だったらいいか」などと思いつつとりあえず初めてのライブを観るために会場に足を運んだのですが、会場に入ってまず驚かされたことはとにかく広い、ステージがデカい、そして人が多いことでした。

 開演までの間はとても長く感じて、姉は買ったばかりのツアーパンフレットに夢中で相手にしてくれないし、僕は未知の世界に迷ってしまったかのように不安感で一杯になりました。

 突然、客電が消え耳をつんざくような歓声の中メンバーが登場しギターイントロ!僕はこの瞬間に完全にノックアウトされました。巨大なスピーカーから出てくるドデかいギターの音とそれに答える周りの観客の怒とうの叫び。今までのテレビやラジオの世界とは全く違った出来事、こんなに広い会場がひとつになるパワー。すべてがすごい事でした。

 それからはあんなに長く感じた開演までの時間がウソのようでした。僕はこの頃はレッドウォーリアーズの事はさほど詳しくは知らなかったのですがステージでの彼等はどれもかっこよく映り、ステージが終わるころには(言うまでも無く)彼等の虜になってしまいました。

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 この忘れられない衝撃を受けた僕はそれからというもの出来るだけライブを観るようになっていくのですが、そうこうしているうちに「この衝撃を僕も伝えたい!」という受け 身から攻め手へと気持ちが変化してきました。ただしそれは単純に友達をライブに誘うということではなく「自ら演じて伝える」という気持ちにです。あの衝撃的出来事によって僕の進むべき道に目覚めさせられてしまったこと、しかもなんとたった¥1000で(笑)。

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 でもこんなものなのかもしれません。大きな夢は一瞬で生まれ、その夢を実現させるために小さな夢を、時間はかかりますが、たくさん叶えなければなりません。

 僕はその大きな夢の一瞬をみんなに与えられればと思うのです。1日でも早くそうなれるように頑張って、ひとりでも多くの人にあの「衝撃」を味わってもらいたいのです!みんなが衝撃を受ける場所が僕の時と同じ様な大きな場所で、しかもそのキッカケが手頃だったりしたらそれは僕の夢に限りなく近くて、昔僕が味わった衝撃が今度は何倍にもなってみんなに戻っていく気がします。

 そのためにもこれからも良いライブをたくさん積み重ねていかなければならないのだ!

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 さて来月はファンレターでいただいたリクエストにお答えします。『作詞・作曲の方法について』です。お楽しみに!

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