好評エッセイ
LEMONADE KEIの初めての×××

第18回

 ナンだ、コノヤロー!

 只今、ワタクシ非常に気が立っております。近寄ろうものなら、男なら秒殺、女ならレイプ確実であります。戒厳令発令!ブーッ、ブーッ、デンジャー!デンジャー!

 …イヤ失礼。なぜ僕が、今そのような人間凶器になっているかと云えば、生理中?ノンノン、実は禁煙中なのである。しかも健康の為だとか、願をかけてだとかいう殊勝な理由からではなく、恥ずかしくてここに書けない程、情けない事情により、やむを得ずである。え、悪いか。あーそうさ、全て俺が悪いのさ!殺せ!いっそ殺してくれぇっ!

 …イヤ、度々スマン。

 それにしても、いつからだろうか。煙草がこれ程自分にとって重要になったのは…。

 僕が初めて意識的に煙草を吸ったのは、16歳の頃であった。以前にも書いた通り、当時はビーバップ・ハイスクール旋風が吹き荒れ、猫も杓子もヤンキー仕様、反発が美徳の時代であった。僕は、今一つその流行に乗りきれなかったが、なりきっている友人達との付き合いの中、ガンのくれ合い飛ばし合い等、それ風の青春も送ったりしていた。

 そこで必要になってくるのが、「煙草」である。ただでさえ好奇心あふれるガラスの十代なのだ。ましてや、そういった環境において「セブンスター」を「セッター」などと云って吸いたくなるのも当然ではないか。

 そこである日、学校帰りに僕は初めて煙草を買った。「セッター」ではなく「キャビン」だったけれど。そして夕飯もソコソコにして部屋に篭もり、ドキドキするハートと「キャビン」に火を点け、大きく吸い込んだのだ。

 ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ。予想通りムセた。しかしメゲずに吸う。ムセる。吸う。ムセる。吸う…。そして一本吸い終わる頃には、吐き気とめまいのカーニバル。煙草のみの方は御経験あろう、あの、めくるめくバッド・トリップ。いつか遊園地で乗ったバイキング以来の衝撃であった。僕は、ぐるぐる回る天井を見上げながら「煙草なんて二度と吸うまい」と思った。実際、吸う事もなく何ヶ月か過ぎていった。

 ところで、その頃僕には、ほのかな恋心を抱いていた女友達がいた。彼女とはとても仲が良かったのだが、ある日彼女に「好きな先輩がいるのだが、どうしたらいいか」という相談を受けた。何て答えたか覚えていないけれど、僕の答えはきっと支離滅裂だったに違いない。

 その夜、僕は2本目の煙草を吸った。なぜか悪くないなと思った。それからだ。僕が煙草を吸うようになったのは。

 ただ、今でも「キャビン」を吸うと、僕は少し悲しくなるけれど。

 さて皆様!お待たせしました!レモネードの登場です。新生レモネードのロケンロール爆弾をいち早く君に!

 10月25日 渋谷ラ・ママ
 待ってるぜ!