Rent Is Too Damn High(家賃がクソ高けー) |
ニューヨークの家賃はずっと上がり続けている。僕が住み始めた25年前に比べて家賃は倍以上に上がっている地域もある。地下鉄代も然りだ。でも、名古屋も東京も家賃は25年前に比べてそれほど変わってはいない。場所によっては安くなっているとこさえある。はたまたインドあたりに行くと、随分安い値段で、いいホテルに泊まれたりもする。同じ現在を生きているのに、場所や時間が違うだけで随分と相場が変わる。こういうことって少し不思議に感じたりもする。 1987年、僕は名古屋の御器所でアズマ荘という共同便所風呂なしのアパートに住んでいた。家賃は1万円だった。仕事は日雇いで、ほとんど働かなくてもなんとかなった。その後、今池の古めのマンションに引っ越した。風呂もトイレもついていて家賃は3万5千円であった。深夜に働く友人と2人住んでいたので家賃はその半分であった。生活の質は低かったけど、あの頃は、家賃を払うのに2、3日バイトすればなんとかなったものだ。 1993年に東京の世田谷で、また共同便所風呂なしのボロアパートに住んだ。家賃は5万くらいしたと思う。アパートの外壁に黒いシミなどがあり、かなりやばい感が出ていたが、都心に近く便利な場所であった。その後、ニューヨークに引っ越したばかりの頃、アッパーイーストサイドの2ベッドルームに一瞬住んだ。かなり広くて家具付きで1000ドル。でも、その時1ドルは85円くらいだったので、円にすると、8万五千円であった。結局、そこはすぐ払い続けるのが困難になって、300ドルくらいで住めるちょっと危険なハーレムに引っ越した。それからしばらくはマンハッタン内を転々と引っ越し、2000年に引っ越したイーストビレッジのワンベットルームに5年ほど落ち着いた。かなり狭めで、家賃はやはり1000ドルであった。その後、そのエリアの家賃は上がり続け、今は2000ドル以上する。そういった家賃の高騰が原因で、CBGBなどかつて沢山あったライブハウスなどはほとんど姿を消してしまいモダンなホテルの並ぶ観光地になってしまった。 2006年からはマンハッタン北部のワシントンハイツに住んだ。ブロードウェイに面しているビルで、広めの3ベッドルームの一室。3人でシェアしていたから一部屋500ドルであった。アパート全部でも家賃は1500ドルだったので、当時のビレッジの相場の半分であった。しかし、それからどんどん近代化が進み、今の家賃はその1.5倍くらいになっている。近所にもおしゃれなカフェやレストランなどや、最近は日本食レストランまででき、多くの若者の姿が見られるようになって来た。 最近、ビレッジやソーホーなどの老舗レストランが閉店に追い込まれるという話をよく耳にするようになった。止まらぬ家賃の高騰に経営が困難になってくるのだ。ニューヨークの家賃は毎年、下がることなくずっと上がり続けているのだ。だから、逆に30年くらい前にビルを買った人は、その価値が何十倍にも膨れ上がって、ウホウホになっているのも見た事がある。こうして格差は広がっていく(涙)。 考えてみれば、25年前にニューヨークに引っ越したばかりの頃は、ミッドタウンに1週間110ドルで泊まれるボロホテルもあった。お金のないアーティスト達がボロボロの空き家を改造して格安で住み着いたりしていた場所もあった。しかし、今のニューヨークには、そういった場所はもう存在しない。マンハッタンに住むにはシェアでも一部屋月800ドル以上はかかる。だから、東京や名古屋の家賃が25年前と変わらないのをみると羨ましくなってしまうのである。Rent Is Too Damn High!「家賃がクソ高い!」をキャッチフレーズにした政党が登場したことがあるくらいのクレイジーさなのだ。 |
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