「全ての壁を扉に」

 

第12回(最終回)

「そして僕はここにいる」

「どうしてバンドをやっているんですか?」「どうして歌を歌っているんですか?」こういう質問はいつだって付いて回るけど、「僕もよくわからない」というのが本音です。同時に「わからないからやっている」というのも本音です。行き当たりばったりと言われてしまえばそれまでかもしれないですが、人生は行き当たりばったりの連続だと思うんですよね。そこに確かにあったはずの道が、ある日突然なくなっている。こんな事が人生ってやつにはしょっちゅうある。前回も書いた様に僕にはかつてやりたいことが明確にありました。でも僕は自らの手で、「無理」という名の壁を作ってそこから先の道を塞いでしまいました。以来僕はずっと逃げているのかもしれませんね。音楽っていうものに「救われた」だの「選ばれた」だの理由つけて、「やれなかった事」から逃げて「やれる事」だけやってきただけなのかもしれません。でも、もし本当にそうだとしたら答えは簡単で「じゃあ逃げ続ければいい」と思うんです。「じゃあやれる事だけ」しっかりやり続ければいいと思うんです。「やれる事」すらちゃんとやれていない現状から「二度と逃げないという逃げ方」で腹くくればいいと思うんです。ある時から僕はこんな風に考える様になって、やがてそれが自分の「信念」ってやつなのかなあなんて思うようになって。勘違いだろうがなんだろうが胸張ってステージでそういう「信念」ってやつを歌い続けようと決心したんです。そしてその「信念」ってやつを突き詰めていけば、僕が昔作った「壁」も、「扉」に変えることができるのかなあなんて思っているんです。僕の現在地はここです。僕はここにいる。

ステージに立たせてもらって10年。まだまだやり続けそうです。

ELLに出させて貰う様になって6年。まだまだお世話になります。
オオスプレスで連載させてもらって1年。寂しっ!(笑)

1年間ご愛読ありがとうございました!ライブハウスで会いましょう!

NSDP敦史

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