KING BISCUIT HOUR Vol.3が3月23日にell.sizeにて開催される。
18年前に野外ゲリラライブとして誕生したKING BISCUIT HOURは、野外からライブハウスへと場所を変えて3年前に復活した。
ゲリラ野外ライブだった頃の第1回目は栄のテレビ塔下でゲリラと言うだけあって公的な許可を何も取らずに開催された。
そもそもどこに許可をとればいいのか知らなかったし、そんな時代だった。
その当時のテレビ塔まわりでは何だって手に入った。
違法テレフォンカードから合法キノコまで。
命の水も神様だってここに来れば手に入れることができた。
もちろんロックだって手に入った。
違法テレフォンカードは褐色の肌色をしたイラン人の皆さんが売り歩き、命の水や神様を売るカサカサ肌で眉間に深い皺を刻んだ2人組のおばちゃんが新規信者を獲得する。
そして痛んだ長い髪の毛をきれいに染めた僕らがロックンロールを演奏する。
爆音で演奏すれば女の子達は立ち止まり耳を傾けて体を揺らす。
その子達に大砲のようなレンズを向けてファインダー覗き込みベストショットを狙うカメラオタクが集まり、それを取り囲むようにイラン人や2人組のおばちゃんが甘い言葉を用意して獲物を探す。
車道には黒い街宣車が停まり角刈りで屈強な右翼団体の人々がこの国を憂い「日本男児は髪を切れ!」と車の上から僕らに向けて罵声を浴びせて激しく注意を促す。
それらを横目にしながら面倒くさそうにホームレスが植え込みの上に敷かれた段ボールの上で小さく寝返りをうつ。
そんなカオスな状況でKING BISCUIT HOURは各種団体と激しく殴りあいながら毎週日曜日に開催されていた。
イラン人からホームレスの皆さんにまで「欽どこ」「金八」「金妻」と同じように「キンビス」と略されて親しまれていた。そして時は経ちバンドに対する世間の目も徐々に穏やかに生暖かくなってきたので野外からライブハウスへと場所を変えて復活した。
そのスピリットは野外でゲリラ的に開催していた時と何も変わっていない。
ライブハウスイベントとして復活してから3回目となる今回はこの日に合わせてCDをリリースする「キンビス」の生みの親でもあるロックンロールバンド「THE CHEERS」。
第1回目のキンビスと同時期に誕生し、同じように数年前に復活を遂げたロックバンド「BAD TRIP」。
定期的にストリートでもライブをしている注目度No.1の若手バンド「ZENMAI」。
東京からやってきて前回もキンビスを熱く盛り上げてくれた「The ゆうたろうバンド」の4バンドが出演する。
その当時の栄テレビ塔下の混沌とした状況のように若手もベテランも入り交じった古くて新しいご機嫌なロックンロールイベントになることは間違いない。

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