「全ての壁を扉に」

 

第2回

「ライブの現場で思うこと」

俺達バンドマンはケンカしたくて音楽やってるわけじゃないのは大前提だけど、ペコペコする為にやってるわけでもない。
ペコペコ頭下げる社会が嫌で逃げ出してきた負け犬みたいなもんでしょ?バンドマンなんて。語弊があるかな?でも俺はそう思う。
結局、言い訳の延長でここまで来てるんだと思うんですよ。「俺には音楽しかない」とか「俺、音楽以外はクズだから」とか言って。何もできない、何もやろうとしない自分を棚に上げて「バンドマンです。」って格好つけて。挙句、小さなコミュニティの中で祭り上げられていい気になって、「俺って才能あるかも?」とか勘違いしちゃってね。バンドマンってそういう人達。傍から見たら只の「残念な人達」。
そんな「残念な人達」同士が楽屋でペコペコし合ってんのって至極滑稽な絵だと思うんですよ。まあ、牽制し合ってるのもどうかと思うけど。
いずれにせよ、音で勝負の世界に折角逃げ込んできたんだから、もうここから逃げるのはやめようぜって思うんです。カッコいい音楽作ってライブしに来てるわけだし、自信満々、勘違い野郎でいいじゃない?どうせハナから勘違いしてるんだから。対バンなんか本来邪魔な存在のはず。そんな奴ら音でぶっ潰すくらいのつもりで行かないと。それが「対バン」ってもんだと思う。バンドやってる時点で堅気じゃないんだから、中途半端に良い人ぶるのやめてくれって思うんです。別に不良が格好いいとかそういう話じゃないですよ。
でかい音出して、吃驚させて、「乗れ!」とか言って、金を取る。堅気とは言い難いでしょ?
でもそんな「残念な人達」が「残念な人達」なりのやり方で、「残念じゃない人達」を時に感動させたり、興奮させたり出来るんです。それがロックだし、ロックバンドってもんなんじゃないかと思うんです。だから頼むからロックバンドはペコペコしないでくれって、バカで残念で最高な勘違い野郎でいてくれって思うんですよ。

NSDP敦史

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