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みなさん、唄人羽(うたいびとはね)をご存知だろうか?
本多哲郎、安岡信一の2人からなるユニットは、1999年のデビュー以来、数々の良いメロディ、良い言葉を生み出し続けている。ファンでなくともラジオから流れる彼らの曲を聴いたことがあるかもしれない。テレビに出演する彼らを観たことがあるかもしれない。
でも今回ここで僕が声を大にして言いたいのは、
『彼らの真価はライブでこそ発揮されるんだ』ということだ。
もしまだ彼らのライブを一度も観たことがない方がいたら、『アナタは人生において一つ、もったいないことをしていますよ』。そう僕は言いきれる。そんな彼らがさる5/25、ElectricLadyLandで行ったライブをレポートしよう。

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場内が暗転し、開場全体の空気に緊張感が増す。ライブが始まる直前のこの空気は何回味わっても特別なものだ。静かに浮かび上がった唄人羽の二人の演奏が始まる。1曲目は『黒猫一夜』。バンドが入り、アップテンポになる。本多と安岡は既に100パーセント歌の世界に入り込んでいる。客席も然り。2曲目、空間を広げるようなギターのリードが印象的な『リライ』、コーラス部分「美しすぎる世界〜」が印象的で頭の中をぐるぐるまわる『BORDER』と続く。

ここでMC、それぞれを茶化しながらの自己紹介。ここで初めてライブを観る人は、彼らの曲とキャラクターのギャップに驚いたに違いない。アコースティックギターを持って2人で歌うユニットは近頃沢山出てきているが、大体は2人共大人しそうな感じの場合が多い。しかし唄人羽は、なんというか好い意味で「やんちゃ」なのだ。それは安岡がライブ開始当初サンダルを履いていて、途中からは裸足になったりするところや、MCのテンションや内容にも表れている。6/27に発売されるミニアルバム『ACOUSTIC SMELLS』を紹介、「アコースティックのにおいって意味です。そっから1曲、失恋の歌です・・・泣け!(笑)」ということで新曲『sign』。この曲はエレキピアノとアコースティックギターの演奏に歌が乗っかる。二人のギターのアルペジオが奏でるハーモニーが美しい。

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ここで安岡が、「ペンと紙持ってきてください、急いで!」と、マネージャーに頼み、コード進行を書く。「よーし、これで曲作るぞー」といって客席から歌詞に使って欲しい言葉を募る。この日は安岡の30歳のバースデーという事で、「おめでとう」そして、ここまでのMCで何度となく登場していた「ローストビーフ」(笑)が盛り込まれることに。こうして始まった演奏に本多と安岡が歌詞とメロディーを即興でつけながら曲が出来上がっていく様は圧巻だ。そして最高に盛り上がったところで本多から「みんなで歌おうぜー、ハッピーバースデー」というリフレインが歌われると、ステージ袖からサプライズのバースデーケーキが登場!関係者席から見ていた競演のPermanent Fish、N.U.も一緒に歌い、会場はとてもピースフルな雰囲気に包まれた。祝われた安岡はひたすら照れつつ、「俺はみんなを困らせようと思って始めたのに、こんな事になるなんて・・・ありがとう」と感激。照れ隠しに「席に座っている子らは、そういう指令がでてるのか?」と問いかけ、違う、というレスポンスに「じゃあ立てー!」と叫び『カラス星』へ。「簡単な歌だから一緒にうたってくれー!」という合図で観客とともに歌う。
そしてこの日最後の『寄りそって咲く花』へ。静かなイントロ、重なるハーモニー、幻想的な照明。この頃にはもう、誰を観にきたかなんて関係ない、とてもいい空気が会場全体に広がっていた。そうだよ、これが唄人羽のライブなんだ。と再認識をする。

イメージ二人の「本当にどうもありがとう」という言葉にも全く嘘はない。こんな気持ちにさせてくれるライブは本当に久しぶりだ。良いメロディー、良い言葉、良いバイブレーションが一つになったこのライブにこちらこそ言いたい、「本当にありがとう!」と

唄人羽は7/29(日)またここELLにやってきてくれる。sacra、そして元Sound Scheduleの大石昌良というこれまた稀有な才能をもったメロディ&リリックメイカー達と共に作るであろう、また今回とは違った、暖かい空気をより沢山の人に感じてもらいたい。そう思うばかりだ。


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