LIVE REPORT TREASURE052 〜rainbow daybreak〜

 ついについについに、この日がやってきた。そう、計11バンドが集い自分たちの個性をお客さんにぶつけまくるTREASURE052。レインボーホールやダイヤモンドホールをはじめ、名古屋各地のライブハウスで行われたイベントライブだ。11ものバンドが終結できるのも1FのElectricLadyLandと3Fのell.FITSALLと、2つのライブハウスがあるELLの特権である。しかも、お客さんが全てのバンドを見ることができるようにと1Fの演奏が終わったら3Fの演奏が始まるという形式。自分の好きなバンドだけを見るのもよし、全部のバンドを見るのもよし。まさにお客さんにとってはバンドという宝物で溢れるライブだったのだ。

 才能と個性にあふれるバンドの集結に、会場はライブの始まる前から熱気と期待感がうずまき、いまかいまかとざわめいていた。

 異様なほど活気だった雰囲気のなか、planeの甘い歌声を口火にライブが始まった。30分ほどで1バンドの演奏は終わってしまう。けど、11バンドいる。寂しいような、次があるという楽しみのような、とにかくお客さんは次々とステージ上に現われるバンドと一緒にライブを盛り上げていった。
 特に印象に残っているのは思わずカッコイイと叫んでしまうFUZZY CONTROLの織りなす洋楽サウンドや「下向いてる奴はマイクスタンドと俺の軽い暴言が飛ぶから気をつけろ」そう言って、会場を沸かせた東京60WATTS。


 熱いライブでほてった心をいい意味で静めてくれたのがthe ARROWS。この日アンプラグドで演奏した彼らの音楽はゆらゆら流れる水のように心地よく、やわらかい歌声が観客を大自然の中へと導いているようだった。

 ライブも終盤へと突入し、1Fと3Fとの往復でちょっと疲れてきたお客さんに元気を与えてくれたのがJackson vibeだ。体をつきぬけるような歌声と思わずニコニコしたくなるリズムに体が揺れた。はねる音符にはねる音楽、そしておどる観客。会場はますますヒートアップしていく。

 そして、イベントのトリを飾ったのは赤、緑、青のカラフルTシャツに身につけて現われたスムルース。たどたどしいMC口調に、ヴォーカル徳田の奇妙奇天烈な動きやポーズが実におもしろい。観客を沸かせながら、熱く歌い上げるスムルースに観客の誰もが笑顔でリズムに合わせて飛びはねる。この日はオリンピック真っ最中、「愛という金メダルをあげよう」と言って徳田が金メダルと書かれたボードを高々と頭上にかかげた瞬間、会場からは大歓声が沸きあがった。

 スムルースがステージから去っていくとき、これでライブが終わってしまう、ふっと寂しくなった。まだ終わりたくない、そう思ったのは会場にいた全てのお客さん。自然と拍手はアンコールへと変わっていった。

 終わってみれば実に5時間近いライブだった。1Fと3Fを行ったり来たりでくたくただったはずのお客さん。なのに、彼ら彼女たちの表情はすっきりしたように明るかった。きっとお客さんがそれぞれの新しい宝物を見つけることができたから、思ってもみなかった自分好みのバンドに出会うことができたからだと思う。それがまさにTREASURE052の醍醐味。何があるかわからない。次の宝さがしが楽しみだ。



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