ELLでのライブは実に３年ぶり、暖かくて切なくて、思わず誰もが共感してしまう、あのsacraサウンドが帰ってきます。今回はそんな「おかえりなさい」の意味も込めてVo.Gの木谷さんにインタビューをお願いしました。活動の拠点を地元名古屋から東京へ移す前の、明るく元気で「はっちゃけた」イメージの木谷さんはどこへやら、何だか随分大人っぽくなった感じ？！今回のワンマンツアーへ向けての思いを真剣トークで語っていただきました。

−さっそくですがメンバーさんの近況から教えてください。

木谷「そうですね、今は音源作りに入ってます。9月後半からツアーのリハーサルを始めていく予定ですね。プライベートでは、この前ミュージシャン仲間とか友人達を家に集めてですね、55、6人集まっちゃったんですけど…あの、うち3人で葛飾のほうに住んでいて、ベランダが20畳くらいあるんですよ、そこでみんなでバーベキューして飲み明かしましたね。」

−仲間も増えて、今やすっかり東京の人ですね？！

木谷「や、それでもやっぱ名古屋に帰ると一番落ち着きますね。ライブでも名古屋が一番素で出来ますもんね。」

−2002年から東京へ活動拠点を移し、今年2月にはメジャーデビューを果たしたわけですが、大きな変化というのはありますか？

木谷「そうですね、自分達が変わるっていうよりも周りの自分達への見方が変わってきましたよね。一番分かりやすいのは親戚だったりとか(笑)。」

−自分達の中での変化はそれほどないのでしょうか？

木谷「音源を作ったり、ツアーで全国廻ったりすると、自分達の足りない部分っていうものが見えてきますから…音楽的にも人間的にもなんですけど。メジャーデビュー後の最初のツアーでは、ライブ後にケンカしてみたり、言い合ってみたりして、色々こう、足りない部分を補いながら…という感じでした。前回のツアーでは、ようやく音楽というものを見せる者として、人間的にも成長していかんと良いものは見せれんな、というのが分かったんで、それが課題として見えたところで、次のライブはそういうところも磨きつつ、アーティストとしての面を見せていけたらいいなと思いますね。」

−sacraといえば、地元名古屋のバンド！というのが我々の中でも拭いきれなかったんですが、最近では楽曲やバンドの見せ方という点ですごく洗練されて、オトナっぽくなってきてるなと思うんですが。

木谷「自分達が東京に出てきて良かったなって思うのは、鍛えられる部分や刺激がたくさんあったことですね。今、地元発信バンドって多いんですけど、そういうバンドは心がもともと強かった人達で、オレ達は決してそうではなくて弱い人間だったので、まあ今でも弱いんですが、鍛えられて良かったなって思いますね。
まあ、地元が名古屋っていうか津島だもんで、そりゃあ景色が、ね、あの、なんていうか壮大というか(笑)、何も無いというか…山に夕陽が沈んでいったりしてたんですよ。東京に来ると、ビルの間に太陽が落ちていったり、星が見えなかったり、景色が遮られることがたくさんあったりして、何に感動していいか分からなくて曲が書けなくなった時期もあったんですけど、その中でも色んなものを見つけていかないかんし、感じ方というか、アンテナを広げていかないかんし、心のあり方をどんどん学んでいったと思いますね。」

−sacraのライブのあり方もだんだん変わってきているんですか？

木谷「そうですね、それこそ名古屋にいた時は、ライブは、盛り上げるどうこうよりも、自分達の表現の場だったんです。次第に、チケットを買って観に来てくれる人達にいかに楽しんでもらえるかってことに重点を置いていくようになって、前々回のツアーも「イエスタデイ」のイメージで来る人達も多かったので、アルバムの曲でガンガン盛り上がる曲とかとのギャップをいかに埋めていくかっていう作業に徹して、気を使っていました。ただ、次のツアーは、その辺はもちろん基本において、アーティストとしても盛り上がるところではブチ切れるくらい盛り上がって、聴かせるところでは泣かせるくらい聴かせる、っていうメリハリのあるライブをしたいなと思ってます。」

−10月にはいよいよライブツアーが始まりますが？

木谷「前回はシーケンサーとかを入れていろいろやってたんですが、今回はいかにナマで、ライブならではのグルーヴを持たせることができるかっていうポイントをついていきたいなと思ってます。sacraってCDの印象が強くて音のアーティストって思われがちかもしれませんが、ストリートライブも、ライブハウスもこなすライブバンドなんで、必ず楽しませたいと思います、ぜひ遊びに来てください！」

「今だって全然はっちゃけてますよ！」と笑ってた木谷さんですが、バンドのこと、そして彼らの思いをいかにお客さんに届けるか、その真剣な思いはこのインタビューからも十分すぎるほど伝わってきますよね。2nd maxi「アンバランス」をリリースしての今回のライブツアー、現状にとどまることなく新たな目標を掲げた彼らの姿をぜひ観に来てください。