ニューヨーク特派員報告
第13回

ブレイキンニュース


かつて『逃走論』がエピデミックだった頃、吉本ばななのパパが「清志郎はステージで自殺してるけど道郎は楽屋で自殺してる。」とおっしゃったので『玉砕とアジテーション』という曲で呼応した事があるが、21世紀の「死」の概念はそんなもんじゃ無さそうだ。

適者生存のダーウィズムは、キリシタン科学より合理化されてるかどうかより、より肉体的且つ脈打つ思考や言語それ事体の役割若しくは完全に一致する真実などををまごつかせる。人類の祖先についての事である。急成長をとげた半導体ショック=情報の飽食をもって瓦全。脳内神経に人工快楽を植え付ける腐敗の継承やキャピタリズムの終焉を依存症の道徳観念にループしてるのである。

今、世界貿易センターがあったとこから2本の強力な光線がマンハッタンの夜空を突んざいている。ブルックリンから眺めると、あちこちが光線だらけで、しかもヘリコプターや戦闘機も監視してる。実ににぎやかな光り。すべての橋とトンネルがシャットアウトされた時はそのまま空にでも飛ぶのではないかと思ったくらい要塞のような島。世界中のあらゆる人種達がミングルして、ビジネスして、音楽して、アートして、忙しく暮らしてる。

ジャックケルアックの'60年の朗読を聞いた。酔っぱらって御機嫌な口調でキッチンかなんかで、延々と、たまにブルースを交えたりしながら、ラジオからは’40年代の映画音楽。放蕩するビートニックは呂律がまわっていなかった。アメリカナイズド空即是色(ZEN)は敢然と物質社会に憚った。

10代の頃何度か詰まらないことが原因で袋だたきにあった。殺されそうになったこともある。目の前に狂気のハンマーは振りかざされれば、生き残るための本能が最後の力を振り絞って無意識に突撃するが抵抗できなくて気を失う。おもしろ半分にズタズタにする連中。心はバネなので、押さえ付けられると反発する。人間には当然プライドがある。

パレスチナの16歳の少女がなぜ自爆しなければならなかったのか。生殖活動のように聞くに耐えない殺戮がくり返されている。民族間の確執なんて発想自体信じがたい、だってニューヨークには自国、母国を気にしながらも民族間に軋轢なんて存在してないから。”オルガスムスは一瞬の死”なんて聞いたこともあったけど、いまや「死」の解釈は完璧に差異がでてしまった。


モクノアキオ
モクノアキオは名古屋系ニューヨーカー。ダウンタウンを中心に音楽活動をしている。新宿のタワーレコードで"ArchitectonicaUdioparachute"が試聴できるので、チェック!!
http://www.spiraloop.com/


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