みなさん胃袋は元気ですかー？俺は胃は元気なんだけど腸の調子がすこぶる悪い日々であります。このコラムを引き受けてからというものネタを探しつつ楽しい食ライフを送ってるんですけど、そんな俺が毎日の様に通ってる近所の小さなスーパーがあってそこは小さいながらも鶏ガラやハツ（心臓）などちょっと手に入りにくい食材もあって重宝してるんですが、そこで初めて豚骨を売ってました。はじめ人間ギャートルズがもってる様なやつです。ちょっと迷ったんですが、ネタ作りの為にもよし、やってやる。豚骨ラーメンに挑戦だ！と気合をいれて買って来ました。今までも鶏ガラをベースに、こんぶ、かつを、煮干しといったスープのあっさりしょう油系ラーメンは手軽なのでちょくちょく作っていたんですが豚骨はそうとう煮込まないといけないので敬遠してました。よくラーメン特集などで一昼夜煮込んだ絶品スープとか書いてるし…。でも俺が大好きなマンガ｢ラーメン発見伝｣によると、豚骨を割ってから煮ると楽に骨髄等のエキスが得られるらしいのです。まぁものは試しです。俺も豚骨を鉄アレイでたたき割ってスープをとる事にしました。まず豚骨を軽く下茹でしてから血などをよく洗ってやりました。そしてスパゲッティ―を茹でるのに使っている大き目の背の高いなべいっぱいに水を入れ、にんにく、しょうがを放り込み強火で煮ます。出てくる、出てくるあくをひたすら取りおちついたら中火に、そこに玉ネギと長ネギの青い部分を入れます。後はひたすら見守るのみです。２時間、３時間と煮込むにつけ白くおいしそうな色になっていきます。関節の部分にある軟骨や筋がトロトロのゼラチン状になるには結局５時間近くに続けました。

煮汁も最初の半分程に。これ以上煮るとスープがなくなっちゃう〜。そのスープをこし器でこす際、例のゼラチンもしっかりスープに溶け込ませます。いわゆるコラーゲンってやつだなぁと思いつつがんばります。次に鶏ガラからスープを取ります。これはよくやってる作業なので気が楽です。同じ様にさっと下茹でしてから余分な脂身や血のかたまりを除き、にんにく、しょうが、玉ネギ、ネギの青い部分を加えて煮ます。一時間も煮れば充分きれいなスープが取れます。と同時に煮干のスープも取っておきます。今回は俺のお気に入りアゴ（飛び魚を干したもの）でスープを取りました。ようやくスープ３種ができました。ここまで６時間強。ちょっぴり後悔しつつもう後戻りできません。次はしょう油だれ作りです。酒を煮切ってそこに塩、うす口しょう油、そしてかつを節の粉を入れます。そしてかくし味にナンプラーを少々。スープで割るので濃い目にしときます。粉にしたかつを節の風味はなかなかインパクトがあります。ここまで作業をすすめてきて大事な役者を忘れていました。それはチャーシューです。豚バラブロックを招興酒、しょう油、砂糖でことこと煮込むいわゆる煮豚は何度か作ったことがあるのですが、もうその余力は残ってないので涙をのんであきらめました。そうそう、その煮豚の煮汁に半じゅく玉子を漬けておくととってもうまい味付け玉子になるんだ！今回はそれも断念です。そこでチャーシューの代わりになるものと考えたのが豚バラスライスをくるくると巻きます。一枚、二枚、三枚と重ねていくと直径４cm程のまるいのり巻の様な物体ができます。それをつまようじで止めて先程のしょう油だれでさっと煮ます。もともとが薄いスライスを重ねたものなので火はすぐ通るし味も通います。恐る恐るようじをとってみると見事にまるい形を保ってくれてました。それを厚目にスライスするとヴァーチャルチャーシューの出来上がりです。

さてさて、やっと役者はそろいました、いざ俺流ラーメン。まずスープのブレンドです。以前喜多方ラーメンの本場会津で食った｢まこと食堂｣の絶品豚骨しょう油ラーメンをイメージして豚骨、鶏ガラ、煮干しを１：１：１のスープにしてみました。もちろんめんは中太めん。味をみながら先程の豚バラを煮たしょう油だれを加えていきます。そして最後に小ねぎを刻んでほうれん草、ヴァーチャルチャーシューをのせてで・き・あ・が・り！！長い道のりでした。さて感涙ものの第一口目。｢ずっ、ず、ず、ず｣。五感の全ても動員してもう一口。｢じゅるっ、ず、ず、ず｣。う、うまいよ！うまくない訳ないじゃん！だってこんなにがんばったんだもん。ヴァーチャルチャーシューは？うん、口の中でさらりとほぐれて新食感！まじでうまいっす。脂の甘味がありつつ、煮干しの風味や苦みもうっすらと。やったぜ俺流豚骨しょう油ラーメン大成功！！！長い自己満足の旅でした。

結論。材料費は安いもんですがガス代けっこうかかったかも。それと半日仕事になります。俺的には大満足ですがそれに見合うだけの味にたどりつけたかはあまり深く考えない方がいいでしょう。楽しかった！！