OOSU PRESS
2001 Dec NO.114

LIVE REPORT

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ライブレポート
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「こんばんは、篠原りかです」
アコースティックギター1本を手に登場。シンと静まり返る客席、身動きするのも憚られるかのような緊張、いつもそう。強いられる訳ではないけれど、客席のみんなの後姿が微動だにしなくなる。

アコースティックギターを指でつま弾く静かなイントロが印象的な『daylight』から始まった彼女のライブ。白い光の中にたたずんでいるような、穏やかだけど強い意志を感じる曲。少しギターのストロークが強くなって次の曲。希望を持って書いたという『最後まであきらめないで』へと続く。

以前のバンドセットでのライブ活動から一転して、約2年前からアコースティックギター1本、最近のアコースティック・スタイルの女性アーティスト達とも一線を引くパフォーマンスをみせてくれる。今年に入り、名古屋でも定期的にアコースティックイベントに出演し、共演したバンドも増えてきた。今日の関係者席でも共演バンドマンが熱心に見入っている。

曲中の雰囲気とは一転して気さくなMCで、少し客席の雰囲気が緩む。「ゆっくりやるんで、ゆっくり聴いて下さい」そして、自ら「あんまり明るい曲がないので」、と前置いてスザンヌ・ヴェガのカヴァー曲『Luka』に。英語なのに何かを語りかけている、という彼女本人の言葉のとおり、思わず耳を傾けて、分かるわけもないのに意味を探ってしまう。確かに「静かな」ライブのイメージがあるけれども、決して「静けさ」ではない。少しはハスキーな声、あまり言葉を詰め込みすぎない歌詞を聴いていると、何だか喋りかけられているような気分になってくる。みんなその会話に夢中になっているだけなんだな・・・。

彼女自らの運転でスリリングな(!)ドライブを楽しみながら東京からやってきた話、その途中でみた秋の景色「どっからこんなきれいな色が出てくるんだろうって色がありますよ」穏やかに喋って、そして4曲目は新曲の『水曜日のワイン』。穏やかで、激しくて、起伏のあって、そしてすごく良い曲。アップテンポの曲ではないのだけれども、サビに向かうにつれ、その場の空気にゆっくりと力がみなぎるってくるのが分かる。

今回もアコースティックイベントでトータル30分弱の演奏時間のため、もうラストの曲。「すごく大事にしている曲です。今縁遠いけど元気にしてるかなっていう人を思い浮かべてください」というMCで『ぶらぶら』。日々の生活観が強く出てる唄だけど、言われたとおり色んな人の顔を思い並べていったら、だんだんそれを通り越して、なぜか自分のことを考えていた。客席のみんなもステージを見つめたまま、ほーっとした顔をしてる。

ライブが終わる頃には、客席のみんなが違う意味での緊張を持っていた。自分のなかで、静かに力をためこんで、じっとしている感じ。「ライブ」という言葉から容易に想像できるようなアップテンポなリズムや、会場の一体感を常に求められるような激しいライブではない。篠原りかの凛とした姿、声を聴きながら、聴く人それぞれが自分の中に立ち返って力がわいてくるのを感じる、そんな不思議なライブだった。


  12/3(mon) @ell.FITSALL
with Red EARCAID SCREEM Cafe/プラマリン/grass hockey

open18:30 start19:00 ad\2000 day\2500(without drink)
Ticket Now on Sale!
 
 

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