OOSU PRESS
2001 Jul NO.109

LIVE REPORT

 静かなピアノのBGMが会場に流れている。何かものすごい出来事が起こることを静かに期待している会場全体のプレッシャー。そう、フラ・フォアのイメージはこれ。ライブ評や噂からみんなが頭の中で作り上げた、異形で未知なるものへの好奇心。これから始まるライブへのあまりの期待に息苦しいぐらいだ。

客電が落ちる。BGMを打ち破る轟音のファズ・ギター。大きなうねりのリズムに乗って、体を弓のようにしならせてVo三上ちさこが歌い出す。あれ、意外に優しい声・・・。静かにそれを受け止める客席。そのままグラインドのリズムでM2へ。大きなアクションでバンド全体をつかんでいるDr佐々木、ポジション、サウンドも重心の低いGt高橋とBa平塚、この重心の低さがフラフォアの楽曲全体の特徴でもあるよう。続けて少し明るめの『消えない夜に』。ここでやっと静かな拍手が起きた。まだこの場に居合わせた人たちは目の前で起きている現象、それとこの雰囲気に圧され気味のよう。
M4の後はじめてMC。Gt高橋が「ツナギどうんよ、新しいんで」訛り?ちょっと空気が緩んだかな?M5ではみんなの体の揺れが大きくなる。

 「今日はね、なんか落ち着かなくて・・・今みんなの気持ちを1つにしようとしてるんだけどね・・・」高橋が深呼吸しながら言う。そう、今回のライブが初めてのワンマンツアー。特に名古屋はこれまでイベント参加のみで、こんなにまで、「フラフォアを」観に来るオーディエンスを前にするのは初めてのはず。が、次の曲「青白い月」が始まってしまえば、そんなことはどうでもいいことだったと思い知らされた。個人的にはこの曲はこの日のベストアクトだったのでは。低く唸るようなベースに、ずっと頭を振ったままフレーズをループさせるギター、そして映画のワンシーンを見ているかのような気分にさせるドラマチックなメロディーを歌う三上。彼女は女の子ヴォーカルにありがちなヒステリック、「もういっぱいいっぱいです!」という限界を少しもみせない。続く2曲でさらに感情のもっと深い深いところに聴く人を導く。

 M9「澄み渡る空、その向こうに僕が見たもの」のポジティブなメロディーに拳があがり始める。はじめは遠慮がちだったが、曲の終盤に向ってどんどんその数が増えていくのが感動的だ。その気持ちにこたえて、三上も「届いてる?感じてる?」とオーディエンスに自分の気持ちを投げかける。静かだけれども密な熱がこもり始める。そう、悲鳴のような歓声やダイブが全てではないんだよね。

 「キミ・ニ・ウタ・ヲウタイマス!」、この熱に応えるように三上の動きが徐々に躍動的になる。前半の繊細な曲の中では、マイクスタンドに支えられなければ折れてしまいそうな程華奢に思えた体が、無駄なものを一切削ぎ落とした運動選手のように弾む。本当に不思議なキャラクターの持ち主。M13「蹴り」ではシールドを体に巻きつけて弾む、弾む。ここにきてもう彼女の動き目を奪われて、体を揺らすのも、印象を書き留めるのも忘れてしまった。

 アンコールではブルージーなヴォーカルも披露して名古屋初ワンマンは終了。途中のMCで三上が言った「仙台と名古屋の人は似てる…熱が内側にあって外に出にくい。でも分かってるから…それがカンチガイかもしれないけど…でもそれでも信じるしかないから…」これが全てを象徴していたライブ。「信じるしかないから」というのはオーディエンスも同じ。フラフォアの曲に偶然出会って、それを信じて今日この場所にやってきた彼らにはその気持ちが十分伝わったはず。いきなりエキセントリックなテンションで観る人を驚かすような、ありがちなのライブではなく、お互いを探りあって、その気持ちを確かめるようにしてライブの1つの形をつくりあげようとしていた姿が印象的なフラフォアだった。


information
次回ワンマンライブ決定!
9/14(金) fra-foa
open18:00 start19:00
前売¥2500 (without 1drink)
6/24 ぴあ・ローソン・ダイレクトセンターにてチケット一般発売!!
問)サンデーフォーク 052-320-9100


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